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Ⅱ 癌の早期発見

Cancer Early Detection

Ⅱ 癌の早期発見

胆道がん:胆管がん・胆嚢がん・十二指腸乳頭部がん

胆道がん:  胆管がん(肝内胆管がんを含む) ・ 胆嚢がん ・ 十二指腸乳頭部がん

胆道がんは、胆道にできるがんの総称で、発生した部位によって分類されます。胆管がんは、がんが発生した場所が肝臓の中か外かによって肝内胆管がん肝外胆管がんに分類されます。さらに、肝外胆管がんは、胆管のどの部分に発生したかによって肝門部領域胆管がんと遠位胆管がんに分類されます。

肝内胆管がんは肝臓に発生するため、原発性肝がんに分類されますが、原発性肝がんの大部分を占める肝細胞がんと区別するために、胆管細胞がんともよばれます。肝臓の中に発生しますが、肝細胞がんとは性質が異なり、検査や治療法には肝外胆管がんと共通するものもあります。そこで、肝内胆管がんについてもこのページで説明します。

胆道がんは、周囲のリンパ節、肝臓、肺などの臓器に転移したり、膵臓などの周囲の臓器に浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)したりすることがあります。

胆道の構造と役割

胆道は、胆管、胆のう、十二指腸乳頭という3つの部分に分けられます。

胆管は、肝臓の中に張り巡らされた細い管(肝内胆管)として始まり、それらが木の枝が幹に向かうように合流しながら次第に太くなって、肝門部という肝臓からの出口で一本にまとまります。これを総肝管といいます。総肝管は、胆のうとつながる胆のう管が合流して総胆管となり、膵臓の中を通って、膵液を運ぶ膵管とともに小腸の一部である十二指腸につながります。このつなぎ目が十二指腸乳頭です。なお、肝臓の中の胆管を肝内胆管、肝臓の外の胆管を肝外胆管ともいいます。

胆道は、肝臓でつくられる胆汁たんじゅうという消化を助ける液を小腸に送る働きをしています。食べたものが十二指腸に届くと、胆のうに一時的にためられて濃縮された胆汁が、胆のう管、総胆管を通って十二指腸に送り出され、小腸での脂肪の消化を助けます。胆汁にはビリルビンという黄色の色素が含まれます。これが便と混じって排泄はいせつされるため、正常な便の色は茶褐色になります。

胆道がんの症状について教えて下さい

胆道がんの症状には、黄疸おうだん、右わき腹の痛み、体重減少などがあります。

肝外胆管がんや十二指腸乳頭部がんでは、黄疸がよくみられます。黄疸は、胆管の内部ががんによって狭窄きょうさく(狭くなること)したりつまったりして、黄色の色素であるビリルビンを含む胆汁が血液の中に流れ込むことにより起こります。皮膚や白目が黄色くなったり、尿の色が茶色っぽく濃くなったりするほか、皮膚にかゆみが出ることもあります。一方、十二指腸に排出されるビリルビンの量が減るため、便の色が白っぽくなることもあります。黄疸の他に、みぞおちや右わき腹の痛み、発熱、全身のだるさ、食欲不振、体重減少などの症状が出ることもあります。

肝内胆管がんや胆のうがんは、早期には症状が出ないことが多いがんです。進行すると黄疸がみられることがあり、胆のうがんではみぞおちや右わき腹の痛みが出ることもあります。ただし、このような痛みは胆石症などのがん以外の病気によって出ることもあります。

胆道がんでは、がんの発生した部位によって、出やすい症状や症状の出るタイミングが異なります。少しでも気になる症状がある場合には、早めにご相談下さい。

胆道がんの検査

胆道がんの診断のためには、まず血液検査と腹部超音波(エコー)検査を行います。胆管の内部が狭窄きょうさくしたり、胆汁たんじゅうがたまった部分が拡張したりしている場合には、CT検査やMRI検査などを行い、がんがあるかどうかやその広がりを調べます。さらに詳しく調べる必要がある場合には、内視鏡を使った検査や生検、細胞診を行うことがあります。

胆道癌診療ガイドライン作成委員会編「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン2019年(改訂第3版)」より作成

■ 血液検査

血液中のビリルビン(胆汁の色素)やALP、γガンマ-GTP(胆道や肝臓の機能を示す酵素)の量が増加していないかを調べます。胆管の内部が狭窄して胆汁の流れが悪くなると、これらの数値があがります。

■ 腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的につくられる物質です。胆道がんでは、CA19-9やCEAを血液検査で測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇しないこともありますし、逆にがんがなくても上昇することもあります。

■ 腹部超音波検査

臓器の形や状態、がんの位置や形、周辺の血流の様子などを確認するための検査です。胆道がんでは、胆管の狭窄や胆汁がたまった部分の拡張が見られることがあるので確認します。体の表面に超音波プローブ(探触子たんしょくし)をあて、体内の臓器からはね返ってくる音波を画像にします。検査での痛みはなく、その場で画像にできます。生検や細胞診の際に利用することもあります。

■ 腹部CT検査

がんの有無や広がり、胆管が拡張している場所やその程度、リンパ節や他の臓器への転移を確認するための検査です。X線を体の周囲からあてて、体の断面を画像にします。短時間でがんの位置や形を細かく映し出すことができます。より詳しく調べる場合には、造影剤を使用します。

■ 腹部MRI検査

がんの有無や広がり、他の臓器への転移を確認するための検査です。磁気を使用して体の内部を映し出し、さまざまな角度からの断面を画像にします。がんと正常な組織を区別してはっきりと確認できます。より詳しく調べるために造影剤を使う場合もあります。

胆道がんでは、MRIの技術を使って胆管や胆のうの状態を調べる、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP:Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)という検査を行うことがあります。

■ 内視鏡を使用する検査

1)上部消化管内視鏡検査: いわゆる胃カメラです。十二指腸乳頭に病変がある場合には、内視鏡を口から十二指腸下降部まで入れて観察します。がんが疑われる場合は組織を採取して、生検を行います。

2)超音波内視鏡検査(EUS:Endoscopic Ultrasonography): 腫瘍のある位置やがんかどうか、がんの広がりの範囲を診断するための検査です。先端に超音波プローブを付けた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸など体の内側からがんやその周囲の状態を調べます。病変を近い位置から観察できるので、体の表面から行う超音波検査よりも鮮明な画像が得られます。

3)内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography): 胆管の狭窄ががんによるものかどうかや、胆管内部のがんの広がり、胆のう管や総肝管への浸潤(がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)などを調べる検査です。内視鏡を口から入れ、十二指腸乳頭からカテーテルを通し、胆管内に造影剤を注入してX線で撮影します。

4)管腔内超音波検査(IDUS:Intraductal Ultrasonography): 胆管壁内のがんの深さや広がりを調べる検査です。胆管内に細い超音波プローブを通して、胆管内の様子を観察します。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)に引き続いて行われます

5)経口胆道鏡検査(POCS:Peroral Cholangioscopy): 口から胆管内に細い内視鏡カメラを入れて、胆管内でのがんの広がりを直接観察したり、組織を採取して生検を行い正確に診断したりする検査です。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)と同じ経路を使って行います。

■ PET・PET/CT検査

進行がんでの他の臓器への転移などについて確認するための検査です。放射性フッ素を付加したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を画像にします。CT検査やMRI検査など他の検査では診断がはっきりしない場合に追加で行われる検査です。PET/CT検査では、PET検査の画像とCT検査の画像を重ね合わせることにより、がん細胞の有無や位置を診断します。

■ 生検・細胞診

がんかどうか、どのような種類のがんかについての診断をはっきりと決めるために行う検査です。がんが疑われる部位から組織や細胞を採取して顕微鏡で調べます。画像検査では判断できない場合や、がんが広がっている範囲を把握するために行うことがあります。胆管がんでは、ほとんどの場合、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)や経口胆道鏡検査(POCS)などの内視鏡を使った検査や胆道ドレナージ(胆管がつまることによってたまった胆汁を通す処置)の際に一緒に行います。また、手術中に行うこともあります。

胆道がんの画像例

 

*本投稿は、国立研究開発法人国立がん研究センターの「がん情報情報サービス」などから抜粋し、加筆・記載したものです。

 

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