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Ⅱ 癌の早期発見

Cancer Early Detection

Ⅱ 癌の早期発見

卵巣がん・卵管がん

卵巣がん・卵管がんとは?

卵巣がんは卵巣に、卵管がんは卵管に発生する悪性腫瘍です。卵巣や卵管に発生する腫瘍(卵巣腫瘍・卵管腫瘍)には、「悪性腫瘍」であるがんのほかに、「良性腫瘍」や、悪性と良性の中間的な性質をもつ「境界悪性腫瘍」があります。

卵巣腫瘍は、発生の起源となる組織によって、大きく「上皮性腫瘍」、「胚細胞腫瘍」、「性索間質性腫瘍」の3つに分けることができ、このうち上皮性腫瘍が最も多くなっています。さらに、卵巣がんに限ると、上皮性腫瘍は約90%と非常に高い割合を占めています。また、卵管がんもそのほとんどが上皮性です。

このページでは、最も頻度の高い上皮性の卵巣がん・卵管がんについて説明しています。ほかの種類の卵巣腫瘍・卵管腫瘍については、担当医に聞いてみましょう。卵巣がんや卵管がんと同じように扱われるようになってきているがんに「腹膜がん」があります。腹膜がんの大部分は、漿しょう液性えきせいがんという組織型のがんです。漿液性がんは、最近では、その多くが卵管から発生しているものと考えられています。

卵巣がん・卵管がんが進行すると、腹部の臓器や腹壁の内側などをおおっている腹膜や、胃から垂れ下がって大腸と小腸をおおっている大網たいもう/だいもうにがんが広がる腹膜播種はしゅが生じます(図2-1)。播種した病変は、大腸、小腸、横隔膜、脾臓ひぞうなどに浸潤しんじゅんすることがあります(図2-2)。このほか、腹部の大血管の周りにある後腹膜リンパ節に転移することや、肺や肝臓、脳や骨などの遠くの臓器に転移(遠隔転移)することもあります。

卵巣・卵管の構造と機能

卵巣は、子宮の両脇に1つずつある親指大の楕円だえん形の臓器で、骨盤内の深いところにあります(図2-1,2)。卵巣は、卵巣の表面をおおっている上皮(表層上皮)、卵子のもとになる胚細胞、性ホルモンをつくる性索せいさく細胞さいぼう間質かんしつ細胞さいぼうなどからできています。卵管は子宮から左右に伸びた一対の管状の器官で、先端は卵巣の近くで漏斗ろうとのように広がっています。

卵巣は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを分泌します。また、初経から閉経までの間、成熟した卵子を約28日ごとに放出(排卵)します。放出された卵子は卵管を通って子宮体部に送られます。

卵巣がん・卵管がんの症状について教えて下さい

がんが初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなったなどの症状をきっかけに受診し、卵巣がん・卵管がんであることがわかる場合もあります。また、がんが大きくなると、膀胱や直腸を圧迫することにより、頻尿や便秘が起きたり、脚がむくんだりすることもあります。進行して腹水がたまると、おなかが大きく前に突き出てくることもあります。

卵巣がん・卵管がんは初期の段階には症状が出にくいため、見つかったときには進行していることが多いがんです。このような症状を疑った場合は、早めの受診が大切です。

卵巣がん・卵管がんの検査

卵巣がん・卵管がんが疑われた場合には、腹部の触診や内診のほか、超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行います。がんかどうかについて正確な診断をするためには、病変の一部をとって行う病理診断(組織診断・細胞診断)が必要です。しかし、卵巣は骨盤内の深いところにあることから、腹部の皮膚から針を刺して組織や細胞を採取することができません。このため、画像検査で卵巣がん・卵管がんの疑いがあると判断された場合には、まず手術を行い、切除した卵巣や卵管の組織診断を行って、がんかどうかを確定します。

■ 触診・内診・直腸診

子宮や卵巣の状態を、腹部の触診や、ちつから指を入れて調べる内診によって確認します。また、直腸やその周囲に異常がないかをお尻から指を入れる直腸診で調べます。

■ 超音波(エコー)検査

超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射の様子を画像にする検査です。子宮や卵巣をより近くで観察するため、腟の中から超音波をあてて調べる経腟超音波断層法検査を行う場合もあります。卵巣腫瘍の性質や状態、大きさをみたり、腫瘍と周囲の臓器との位置関係を調べたりします。

■ CT検査

卵巣がん・卵管がんでは、リンパ節転移および卵巣から離れた場所への転移(遠隔転移)を調べるために検査をします。

■ MRI検査

卵巣がん・卵管がんのMRI検査では、骨盤の内部を細かいところまで調べることができます。子宮や膀胱、直腸などの関係や、腫瘍内部の状態リンパ節が腫れて大きくなっていないかなどを観察し、がんかどうかを推測します。

■ 細胞診・組織診(病理検査)

卵巣がん・卵管がんの組織診断では、手術で切除した卵巣や卵管の組織から標本を作製して顕微鏡で観察し、良性・境界悪性・悪性の判定や、組織型の確定をします。最終的な診断結果が出るまでには2週間から3週間かかります。

手術前に境界悪性や悪性が疑われた場合には、手術の範囲を決めるために、手術中に組織や細胞を採取し、病理診断を行うことがあります(術中迅速病理診断)。術中迅速病理診断には、標本にできる組織の量や時間のほか、さまざまな制約があります。そのため、切除した組織を手術後に詳しく調べて確定した最終的な病理診断と異なる場合があります。診断が異なった場合には、最終病理診断にあった適切な術後治療を行います。

卵巣がん・卵管がんの細胞診では、胸水や腹水などにがん細胞が含まれていないかを確認します。胸水や腹水がたまっていることが手術前にわかった場合は、皮膚から針を刺して胸水や腹水を採取して調べることがあります。

■ 腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行います。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。

卵巣がん・卵管がんでは、血液中のCA125などを測定します。がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査の結果も合わせて、医師が総合的に判断します。

卵巣がん・卵管がんの画像例

 

 

*本投稿は、国立研究開発法人国立がん研究センターの「がん情報情報サービス」などから抜粋し、加筆・記載したものです。

 

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