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Ⅱ 癌の早期発見

Cancer Early Detection

Ⅱ 癌の早期発見

肝細胞がん

肝細胞がんとは?

肝細胞がんは、肝臓の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものです。同じ肝臓にできたがんでも、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは「肝内胆管がん(胆管細胞がん)」と呼ばれます。肝細胞がんと肝内胆管がんは、治療法が異なることから区別されています。ここでは、肝細胞がんについて解説します。なお、一般的には「肝がん」は「肝細胞がん」のことを指します。

■ 肝細胞がんの再発・転移について
肝細胞がんは、多くの場合肝臓内に再発します。また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。

■ 転移性肝がんについて
肝臓以外の臓器にできたがんが肝臓に転移してきたものを転移性肝がんといいます。肝細胞がんとは区別され、治療は転移をする前の原発の部位(最初に発生したがん)に準じて行います。

肝臓の位置と役割

肝臓は腹部の右上にあり、成人で800〜1,200gと体内最大の臓器です。肝臓の主な役割は、食事から吸収した栄養分を取り込んで体に必要な成分に変えることや、体内でつくられた有害物質や体外から摂取された有害物質を解毒し、排出することです。また、脂肪の消化を助ける胆汁もつくります。胆汁は、胆管を通して消化管に送られます。

肝細胞がんの症状について教えて下さい

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査のときなどに、たまたま肝細胞がんが発見されることも少なくありません。健康診断などで肝機能の異常や肝炎ウイルスの感染などを指摘された際には、受診するようにしましょう。

肝細胞がんが進行した場合は、腹部のしこり・圧迫感、痛みなどを訴える人もいます。

肝細胞がんの組織型分類(がんの組織の状態による分類)

肝細胞がんでは、高分化、中分化、低分化の3段階に分け、さらに未分化がんを区別します。未分化がんや低分化のがんは、細胞が活発に増殖する傾向がみられます。

また、肝細胞がんでは組織型分類のほかに、肉眼分類があります。がんの断面を肉眼で観察して、がんとそうではない部分の境目(境界)がはっきり見えるかどうか、境界が不規則かどうかなどによって、分類します。がんが発生して間もない段階では、境界ははっきり見えません

肝細胞がんと関連する疾患

肝細胞がんでは、肝機能に影響を与える慢性肝疾患(脂肪肝、肝硬変など)を伴っていることが多くみられます。脂肪肝とは、肝細胞の中に脂肪が過剰にたまっている状態のことです。肝硬変とは、肝炎ウイルスや脂肪肝などによって長期間にわたり炎症を起こした結果、肝臓が硬くなってしまった状態のことをいいます。

肝細胞がんの検査

肝細胞がんの検査は、超音波検査やCT検査、MRI検査の画像検査と、腫瘍マーカー検査を組み合わせて行います。また、肝細胞がんとその他のがん、悪性か良性かの区別をするために針生検を行います。治療方針の検討には、血液検査で肝機能を調べたり、肝硬変の程度を評価するために内視鏡検査を行うこともあります。

■ 腹部超音波検査

体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像化して観察する検査です。検査機器があれば外来でも簡便に行うことができます。がんの大きさや個数、がんと血管の位置、がんの広がり、肝臓の形や状態、腹水の有無を調べます。ただし、がんの場所によっては、検査が困難な場合や、皮下脂肪が厚い場合は、十分な検査ができないことがあります。

患者さんの状態や、がんのある部位によっては、血管から造影剤を注射して検査を行うこともあります(造影超音波検査)。

■ 腹部CT/MRI検査

CT検査では、X線を使って体の内部を描き出し、治療前に、がんの性質や分布、転移や周囲の臓器への広がりを調べます。肝細胞がんを調べる場合は、造影剤を用いながらCT検査を行うのが一般的です。より詳しく調べるため、造影剤を注射したあと、何回かタイミングをずらして撮影することがあります。

MRI検査は、磁気を使った検査です。必要に応じてCT検査と組み合わせて、あるいは単独で行います。MRI検査でも、造影剤を使用することがあります。

■ 腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、体のどこかにがんが潜んでいると異常高値を示す血液検査の項目で、がんの種類に応じて多くの種類があります。

肝細胞がんで保険が適用される腫瘍マーカーは、AFP(アルファ・フェトプロテイン)やPIVKA-(ピブカ・ツー)、AFP-L3分画(AFPレクチン分画)です。腫瘍が小さい場合の診断では、2種類以上の腫瘍マーカーを測定することが推奨されています。

ただし、肝細胞がんでもこれらのマーカーがいずれも陰性のことがあります。また、がんではないが肝炎や肝硬変がある場合、あるいは肝細胞がん以外のがんがある場合で陽性になることもあるので、画像診断も同時に行います

肝細胞がんの画像例

 

 

*本投稿は、国立研究開発法人国立がん研究センターの「がん情報情報サービス」などから抜粋し、加筆・記載したものです。

 

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